映画ローグワンが素晴らしかったから、その魅力をあれこれ書いてみる...(ネタバレ有)

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この投稿を書く理由?

ローグワン(Rogue One)は、STAR・WARSシリーズの番外編として製作された映画だ。番外編の映画としては、過去に、エピソード6に登場するイウォークというキャラクターを主人公にした、イウォーク・アドベンチャーというのが製作されたことがある。2016年12月の時点で、STAR・WARSシリーズは、エピソード1〜7までが公開されていて、ローグワンはエピソード4の物語が始まる直前までを描いている。
 
というわけで、今回の投稿では、ローグワンが思っていた以上に素晴らしかったので、その魅力などをあれこれ書いてみたいと思う。
 
先にも書いたように、ローグワンはエピソード4の直前までを描いているので、STAR・WARSシリーズを知っている人は、ローグワンの結論も当然のように知っている。なので、今回はネタバレ有で書いていこうと思う。結論を知っていても、そこまでの詳細を知りたくない人は、観てから読んでほしい。


映画ローグワンは、ヒロイン中心のシンプルな物語が魅力なのだが、STAR・WARSのマニアやオタクにとっては、あまり魅力的ではないのかもしれない...

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最初に書いておくと、僕は、マニア気質もオタク気質も持っていない人間で、ただの映画好きだ。そんな僕にとって、STAR・WARSシリーズは、エピソード1〜3までが特に厄介な映画だった。というのも、エピソード1〜3はとにかく物語がつまらなくて、エピソードの中盤で眠ってしまって、物語も設定もなんとなくしか理解していないからだ。
 
エピソード4の直前までを描いたローグワン、そんな俺でも理解できるんだろうか?と不安を感じながら、映画を見始めたわけだが、15分ぐらいで不安が期待に変わった。というのも、ローグワンは、STAR・WARSを知らない人が見ても楽しめるように、エンターテイメント作品として物語が構成されていたからだ。
 
ローグワンは、子供の頃に目の前で母親が殺され、父親が連れ去られた、1人のヒロインの物語だ。ヒロインが反乱同盟軍に捕まり、父親が帝国軍が開発しているデススターという惑星破壊兵器の開発者であることを知らされる。そして、父親と連絡をとって、デススターの情報を得るように指令され、そこから物語が動き出す。 
 
ハリウッド産のエンターテイメント映画は、どんな観客でも内容を楽しめるように、主人公を中心にして物語を展開させる。そうすると、物語の軸がはっきりするし、観客が主人公に感情移入しやすくなり、物語の中で主人公に降りかかるさまざまな問題や困難がよりドラマチックになる。
 
ローグワンでは、まさにヒロインが物語の中心となっていて、父親の発見、父親の意思の継承、独立愚連隊ローグワンの結成...と物語が展開していく。
 
ただ、STAR・WARSマニアやオタクの人たちにとって、ローグワンは、もしかしたら魅力の少ない映画なのかもしれない。というのも、ハリウッド産のエンターテイメント映画では、主人公が物語の中心となるので、どうしても脇役を描くのがおろそかになる。描ける物語は、せいぜい主人公と敵のボスぐらいになってしまう。
 
僕が思うに、STAR・WARSシリーズのエピソード1〜3というのは、僕のようにエンターテイメントを求める人にとっては、退屈極まりない映画だったけれど、マニアなオタクのように魅力的なキャラクターや物語の背景となる豊かな世界観を求める人にとっては、ずいぶん魅力的な映画だったのかもしれない。
 
もし、ローグワンを観て、物語は分かりやすかったけど、もっといろんなキャラクターを登場させて描いてほしかったな... と感じたなら、たぶんあなたは、STAR・WARSにマニア的なオタク的な魅力を求めている。

映画ローグワンに登場する、魅力的なアウトローたち!

ここでは、ローグワンに登場した魅力的なアウトローたちを、僕個人の感想や意見を加えて、紹介していきたい。
 
 

ジン・アーソ : Jyn Erso

 
映画ローグワンに登場する、ジン・アーソ : Jyn Ersoの顔画像
デススターの設計者である父親の意思を知って、その設計図を手に入れようとするヒロイン。ヒロインであるにも関わらず、設計者の一人娘ということ以外に、特殊な能力や才能などを持っておらず、STAR・WARSシリーズの主人公として異色。演じたイギリス人女優のフェリシティ・ジョーンズは、すごく美人というわけではないけど、ときどき見せる表情や姿がとても凛々しくて、ヒロインが抱えていた孤独や意思の強さを完璧に演じていた。
 
 

キャシアン・アンドー : Cassian Andor

 
映画ローグワンに登場する、キャシアン・アンドー : Cassian Andorの顔画像
反乱軍のスパイであり、ヒロインと行動をともにする男。物語の序盤、情報を渡してくれた協力者をあっさり殺す場面を描いたことで、任務のためなら冷酷になれる男という人物設定をうまく描いていた。父親に会いたいと思っているヒロインに対して、父親の暗殺という秘密の任務を抱えていて、そこで葛藤が生まれていた。物語の終盤、男が抱えていた悲しみと、ヒロインが抱えていた悲しみが同じものだと分かって、2人が一致団結した瞬間、胸が熱くなった。
 
 

K-2SO

 
映画ローグワンに登場する、K-2SOの顔画像
キャシアン・アンドーの相棒であり、戦略の成功確率などを分析するロボット。もともとは帝国軍の警備ロボットだったのが、データを書き換えられて、反乱軍の中身になっているという設定で、もともと帝国軍のロボットだったというのが、物語の各所で役に立っていた。警備ロボットにも関わらず、トゲトゲしさのない丸っこいデザインとなっていて、物語の設定などを考えた上で、親しみを持ってもらえるように工夫してあり、とても感心した。
 
 

チアルート・イムウェ : Chirrut Îmwe

 
映画ローグワンに登場する、チアルート・イムウェ : Chirrut Îmweの顔画像
ヒロインたちが旅の途中で出会う、かつて僧院の警護をしていた傭兵の1人。盲目でありながら、音を頼りにした槍での接近戦を得意としていて、STAR・WARS版の座頭市みたいなキャラクター。フォースの能力を持っていないにも関わらず、その存在や思想を信じている。最後の戦闘場面、無数のレーザーが飛び交う中、命をかけてチームのピンチを救った姿が、超絶カッコ良かった。
 
 

ベイズ・マルバス : Baze Malbus

 
映画ローグワンに登場する、ベイズ・マルバス : Baze Malbusの顔画像
かつて僧院の警護をしていた傭兵の1人で、チアルート・イムウェの相棒。背負ったバックパックからエネルギーを供給して、強力な攻撃ができるレーザー砲の名手。相棒とは違って、フォースなどをまったく信じていない現実派だが、イムウェと良い意味での凸凹コンビになっていた。戦争や戦闘を描く映画に、こういう無骨で武闘派なキャラクターが1人いると、それだけで戦闘場面がドラマチックになるので、個人的にもっとも好きなキャラクターかもしれない。

映画ローグワンの最大の魅力は、フォースを持たないアウトローたちの悲しみと孤軍奮闘である!

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ローグワンでは、目的のためなら平気で人を殺し、実験目的で寺院と街をまるごと破壊する、帝国軍の悪さが描かれている。ヒロインも、帝国軍のせいで母親を殺され、父親を連れ去られ、ようやく見つけた父親まで殺されてしまう。そんなヒロインにとって、自分の家族と人生を破壊した帝国軍は、復讐心の対象そのものである。
 
ローグワンが素晴らしいのは、物語の中盤まで、帝国軍のせいでヒロインに起こった悲劇を見せておいて、命令でヒロインのパートナーとなった男(キャシアン・アンドー)も、実は同じように帝国軍によって家族と人生を破壊されたことが明らかになるところだ。
 
STAR・WARSでは、シリーズ全体を通して光のフォースと、闇のフォースの戦いを描いている。公共のため平和のために戦うと光のフォースで、個人の感情や欲望のために戦うと闇のフォースという構図になっている。大きなテーマとして、その構図は理解できるのだが、登場するキャラクターたちが命をかけて戦う動機を、その構図にはめ込んでしまうと、観客として感情移入するのが難しくなってしまう。
 
戦争映画であれ、恋愛映画であれ、SF映画であれ、映画が描いているのは登場人物に起こるドラマチックな出来事であり、そこから生まれる葛藤や感情だ。観客はそんな登場人物に感情移入することで、ドラマチックな出来事を同じように追体験するのである。善のフォースのために戦うにせよ、悪のフォースのために戦うにせよ、それは個人における思想や立場であって、葛藤や感情ではない。
 
ローグワンが素晴らしかったのは、ヒロインたちと帝国軍の戦いを、光と闇の構図にはめ込むのではなく、個人の体験から起こる復讐心を原動力とすることで、観客が感情移入できるものにしたところだ。どんなに素晴らしいことを描いていても、感情移入することができないと、素晴らしい映画にはならない。
 
ローグワンで、親兄弟を殺されて人生を破壊されたのが、ヒロインだけの悲劇ではないと明らかになった瞬間、多くの観客が理解する。独立愚連隊ローグワンに志願した兵士たちは、誰もがヒロインと同じように帝国軍に人生を破壊され、復讐のために命をかけて戦う決意をしたのだと...
 
素晴らしい映画の主人公とそのチームは、決して思想や欲望のために命をかけて行動を起こしたりしない。同じような体験を通じて、感情が一致団結して、初めて主人公とそのチームは命をかけて行動を起こす。主人公とそのチームの感情が一致団結する瞬間というのは、物語が終盤へ進んでいくための起爆剤であり、物語が感情的にもっとも盛り上がる瞬間でもある。

映画ローグワンが、STAR・WARSシリーズのテーマである、光と闇のフォースの戦いを描かなかった理由とは?

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ローグワンの中盤、物語はジェダという砂漠の惑星が舞台となる。上の画像にもあるように、惑星ジェダにある巨大な寺院の上空に、帝国軍の戦艦が停泊していて、寺院を占領下に置いている設定だ。物語的には、寺院にある貴重な鉱石を奪うためのようなのだが、その様子が描かれているのを見て、帝国軍ってなんか中東のアメリカ軍みたいだな... と思ったのは、たぶん僕だけではないだろう。
 
帝国軍には、デススターっていう惑星破壊兵器があるのに対して、アメリカ軍には核兵器ってのがあるし、圧倒的な軍事力で銀河を支配しようとしている帝国軍と、圧倒的な軍事力で中東への影響力を保持しようとしているアメリカ軍って、なんか状況的に似ている。
 
ローグワンの物語展開を冷静に考えると、最終的には帝国軍と反乱軍の戦いにはなるものの、そこまでは個人を中心とした独立愚連隊による帝国軍中枢部へのテロ攻撃を描いている。日本の片隅にいる僕のような人間が、そんな憶測をするぐらいだから、制作チームの人たちも、当然そのことを考えただろう。
 
ローグワンで、光と闇のフォースの戦いというSTAR・WARSのテーマを描かなかったのは、たぶん制作チームの配慮だろうと思う。もし、光と闇という善悪の思想をこの物語に組み込んでしまったら、反乱軍こそ善であり、ローグワンは善のために戦ったということになる。
 
STAR・WARSシリーズ全体としては、それで間違っていない。ところが、そうすると、善のためであればテロリストのような作戦や行動も正当化されるというメッセージが、物語から発せられていることになってしまう。
 
悲しいかな、我らが人類の現実世界には、我こそは善であるという善が、そこかしこに存在している。そして、こっちの善とあっちの善が戦ったり、取り締まったり、占領したり、支配されたりしている。そんな現実世界に対して、善のためであればローグワンのような作戦も行動も正当化される... というメッセージを発することは危険だ。
 
制作チームはそこまで考えた上で、ローグワンに善悪という思想をまったく入れることなく、ヒロインの個人的な体験を通して、帝国軍と反乱軍との戦いを描くことにしたのだろう。その結果、ローグワンは、僕のようなSTAR・WARSシリーズを深く理解していない観客でも理解でき、感情移入でき、大いに楽しめる映画となった。
 
これは、もしかしたらスピンオフと呼ばれる番外編だからこそ可能だったことなのかもしれない。制作チームにとって難しいのは、今後のSTAR・WARSエピソード8〜9で、善と悪という思想に関わってくる光と闇のフォースの戦いを、どのように描いてシリーズを完結させるかのほうだろう。

まとめ

STAR・WARSシリーズでは、2018年にもう1本スピンオフの映画が計画されているので、今から楽しみだ。シリーズ本編となるエピソード8〜9のほうも、もちろん楽しみではあるのだが、過去作品やテーマの縛りがあるので、純粋なエンターテイメントとしては、あまり期待できないかもしれないなと、個人的には思っている。
 
最後に、ローグワンでは、独立愚連隊に志願したすべてのメンバーが死んでしまう。残されるのは、デススターの設計図と逃亡するレイア姫だけで、まさにそれがエピソード4のスタート地点へと結びつく要素となる。
 
そんなわけで、以後のSTAR・WARSシリーズに、ローグワンのキャラクターが登場することはない。マニアやオタクの人たちにとっては、きっと残念なことなのだろうが、その割切りの良さこそが、ローグワンを素晴らしい映画にした最大の要因だ。
 
映画としてのローグワンの素晴らしさは、光の闇のフォースの戦いというテーマを捨て、後のシリーズでキャラクターを登場するかもしれないという余地を捨てたことで、初めて獲得できたものだろうから。
 
 

2016.12.28 おの なおと


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