恩田陸の『蜜蜂と遠雷』が、素晴らしい小説だったので紹介する!【ネタバレ度33%】

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『蜜蜂と遠雷』って、どんな小説?

『蜜蜂と遠雷』は、芳ヶ江(よしがえ)国際ピアノコンクールに参加するピアニストたちと、それに関わる人たちを描いた小説だ。
 
作者は、小説家の恩田陸。『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、2017年本屋大賞を受賞している。直木三十五賞と本屋大賞をW受賞したのは、今回が初めてのことだそうで、出版業界で大きな話題となった。
 
ちなみに、僕が『蜜蜂と遠雷』を購入した時点では、まだ2017年本屋大賞を受賞しておらず、少しずつ読んでいるところでその受賞が発表されて、これだけの内容と表現力なら受賞して当然だなと、すんなり納得した。
 
恩田陸は執筆にあたって、3年に1度開催される浜松国際ピアノコンクールを4度も取材したそうである。クラシック音楽にも国際ピアノコンクールにも無知な僕が、芳ヶ江(よしがえ)国際ピアノコンクールの世界観や展開に確かなリアリティーを感じたのも、実際のピアノコンクールを徹底的に取材した、恩田陸の強い気持ちがあったからだろう。
 
というわけで、今回の投稿では、僕が感じた『蜜蜂と遠雷』の素晴らしさについて紹介していく。クラシック音楽を愛する人であれば、多くの人が魅了されるだろうし、クラシック音楽に興味のない人にとっても、今まで知らなかった世界が見えてくるのが、『蜜蜂と遠雷』なのではないかと思う。


『蜜蜂と遠雷』って、どんなあらすじ?

『蜜蜂と遠雷』は、4人のピアニストが物語の中心となる。
 
物語の舞台となるのは、3年に1度開催される芳ヶ江国際ピアノコンクールで、「ここを制した者は、世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」というジンクスがあるという設定になっている。世界的に注目されているコンクールなので、世界中から注目の若手ピアニストが集まってくるし、世間の注目度も高い。
 
 

芳ヶ江国際ピアノコンクールの日程

  • 第一次予選(5日間 : 90人 : 演奏時間20分)
  • 第二次予選(3日間 : 24人 : 演奏時間40分)
  • 1日の休み
  • 第三次予選(2日間 : 12人 : 演奏時間60分)
  • オーケストラとのリハーサル(2日間)
  • 本選(2日間 : 6人 : 指定されたピアノ協奏曲から任意の1曲)

 
 
物語の中心となるのは、風間 塵(かざま じん : 16歳)、栄伝 亜夜(えいでん あや : 20歳)、マサル・カルロス・レヴィ・アナトール(19歳)、高島 明石(たかしま あかし : 28歳)の4人のピアニストである。
 
『蜜蜂と遠雷』では、彼らの歩んできた人生や心情を描きながら、クラシック音楽の素晴らしさ、ピアニストとして生きていくことの難しさ、クラシック業界の表裏、家族との物語、それぞれの人間関係などを描いていく。
 
ピアノコンクールが物語の舞台となっているので、どの登場人物が優勝するのかという点を注目するかもしれないけれど、僕が思うに『蜜蜂と遠雷』で描かれているもっとも重要なテーマは、ピアノコンクールを通して起こる登場人物たちの変化だ。
 
その変化は、ある登場人物にとっては成長であり、ある登場人物にとっては決意であり、また覚悟であり、回復でもある。芳ヶ江国際ピアノコンクールを通して、挑戦する4人のピアニストの変化を描いているというのが、小説『蜜蜂と遠雷』のあらすじであり、もっとも重要なテーマなのではないかと思う。


『蜜蜂と遠雷』の登場人物は?

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『蜜蜂と遠雷』に登場する、4人のピアニストを簡単に紹介しよう。
 
 

風間 塵(かざま じん : 16歳)

小説の最初に登場する人物であり、冒頭で描かれている、彼が世界に対して抱いている音楽の感覚のくだりが、タイトルの『蜜蜂と遠雷』につながっている。パリで行われたオーディションで衝撃的なピアノ演奏をして、審査員たちの賛否を巻き起こす。
 
風間塵は、父親が養蜂家をしていてヨーロッパ各地を旅しているので、ピアノを持っていない。旅先でピアノを見つけては、自由気ままに弾いていたところ、世界的なピアニストであるユウジ・フォン = ホフマンに気に入られて、ピアノを教えてもらうようになる。
 
ユウジ・フォン = ホフマンは、世界中から尊敬されている老齢のピアリストであり、ほとんど弟子を取らなかったことでも有名である。なので、オーディションに提出された風間塵の書類に、ユウジ・フォン = ホフマンの推薦状があるということで、彼を尊敬する審査員たちから注目と嫉妬と怒りを集めることとなる。
 
風間塵は思うがまま、感じるままに生きている自然児で、音楽だけでなく、自然や美に対して強い感受性を持っている。正規の音楽教育を受けていないところが、彼の良いところであり、ちょっと常識離れしているところでもある。
 
 

栄伝 亜夜(えいでん あや : 20歳)

栄伝亜夜は、子供のころに国内外のジュニアコンクールを制覇して、CDデビューを果たし、コンサートを何度も開催する神童だった。ところが、彼女が13歳のときにピアノの師であり、優秀なマネージャーでもあった母親を亡くす。そして、コンサートをドタキャンしてしまい、ピアニストとしての活動を止めてしまう。
 
高校卒業後、亡き母親の友人であり、名門私立音大の学長である浜崎に認められて、再び音楽の勉強をするようになる。芳ヶ江国際ピアノコンクールに参加することにしたのも、浜崎の強い勧めがあったからで、亜夜自身はちっとも乗り気ではない。
 
グランドピアノが墓標のように見えて、その中に輝く音楽を見ることができない。燃え尽き症候群。二十歳を過ぎればただの人。亜夜はさまざまな呪縛を心に抱えながら、目的もあやふやなまま、芳ヶ江国際ピアノコンクールに挑戦することとなる。
 
 

マサル・カルロス・レヴィ・アナトール(19歳)

マサルは、フランス人の父親と日系ペルー人の母親の間に生まれたラテン系で、5歳から7歳まで日本に住んでいた。日本に住んでいた頃に、近所に住んでいた女の子に誘われて、ピアノ教室へ遊びに行っていたことがあり、そこで音楽の素晴らしさに気づき、才能を見出された。
 
フランスに帰国してから、本格的にピアノを習うようになり、メキメキと頭角を現した。現在はアメリカにあるジュリアード音楽院に通っていて、世界的なピアニストとして知られているナサニエル・シルヴァーバーグに師事している。
 
188㎝の長身に甘いマスク、ピアノだけでなくスポーツも得意としていて、芳ヶ江国際ピアノコンクールの優勝候補と目されている。いつも堂々としていて、屈折したところが1つもなく、スター性のある好青年である。
 
 

高島 明石(たかしま あかし : 28歳)

明石は、芳ヶ江国際ピアノコンクールの応募規定ぎりぎりの28歳で、出場者の中では最高齢となる。音楽大学を卒業してから、ピアノストとして独立することもなく大きな楽器店の店員として働いていて、すでに結婚していて、明人という名前の息子がいる。
 
明石は、これが自分の音楽家としてのキャリアの最後になるだろうと覚悟して、コンクールに挑戦している。プロの音楽だけでなく、生活者の音楽というものも存在するはずだという信念を持っていて、普段の仕事をしながら、睡眠不足や虚無感と戦いながら、練習と勉強を続けてきた。
 
もと同級生から、TVのドキュメンタリー番組として取材させてほしいと依頼されていて、明石の周囲では常にカメラが回っている。誠実で実直、周囲の人たちから愛される人がらで、『蜜蜂と遠雷』の多くの読者にとって、もっとも共感しやすい近しい心情を持った人物である。


『蜜蜂と遠雷』は、クラシック音楽の世界に生きる登場人物たちの心のドラマが素晴らしい!

作者の恩田陸は、ドキュメンタリー番組を撮影している登場人物の目を通して、ピアノコンクールについて次のように書いている。
 

なんて残酷で、なんて面白い、なんて魅力的なイベントなんだろう。
芸術に点数がつけられるか? そう聞かれれば、誰だって「優劣なんてつけられない」と答えるだろう。それはむろん、誰でも頭では分かっている。
しかし、心では優劣がつけられたところを見たいのだ。選びぬかれたもの、勝ち残ったもの、ほんの一握りの人間にだけ許されたギフトを目にしたい。そこに労力がかけられればかけられるほど、歓喜と涙はより感動的で興奮させられるものになる。
何より、人はそこに至る過程を、人々のドラマを見たいのだ。頂点を極めスポットライトを浴びる人を見たいのと同時に、スポットライトを浴びることなく消えていった人たちの涙を見たいのだ。

『蜜蜂と遠雷』P.265〜266

 
『蜜蜂と遠雷』では、芳ヶ江国際ピアノコンクールに関わる、すべての登場人物たちに心のドラマがある。その中でも、僕の印象に強く残ったのが、栄伝亜夜と高嶋明石という2人の心のドラマだった。
 
上の登場人物のところでも書いたけれど、栄伝亜夜は、母親を亡くしたことでクラシック音楽の世界から離れて、恩人のために仕方なくコンクールに参加している。なので序盤は、世間から浴びせられる冷たい目と、ピアノ演奏する目的を見つけだせない2つの葛藤を抱えている。
 
そんな亜夜に大きな衝撃を与えるのが、風間塵のピアノ演奏である。無垢でビビッドな演奏を聴いて、亜夜は、彼が音楽の神様と楽しそうに遊んでいるように見えて、羨ましくなる。かつては、自分にもそれができていたことを思い出し、かつての歓びをもう一度味わいたいと強く願うようになる。
 
それが転機となり、亜夜はピアノに正面から向き合うようになり、世間から浴びせられる冷たい目と、ピアノ演奏する目的を見つけだせない2つの葛藤を克服していく。亜夜の心に起こることは、たぶん『蜜蜂と遠雷』の中でももっとも劇的な心のドラマだろう。
 

高嶋明石は、仕事を持ち、家族を持っている普通の人間だ。
 

明石の準備期間を見てきただけに、音楽家という商売の大変さ、恐ろしさはじわじわと染みてきた。なにより、ほんの一握りの人を除いて、全く儲からない。プログラムに載っている同年代のコンテスタントはいったいどうやって生活しているのだろうと思う。

『蜜蜂と遠雷』P.264

 
ドキュメンタリー番組を撮影している登場人物がそう思ったように、そもそもクラシック音楽というのは、家族が裕福でないと続けることができない。明石自身もそんなことは百も承知していて、これが最後になるだろうと覚悟してコンクールに参加している。
 
他のコンテスタントと比べて、圧倒的に練習時間が少ないという焦りと、普通に生活しているからこそ得られる、生活者の音楽というものがあるはずだという気持ちが、明石の中には渦巻いている。
 
日々、仕事の疲れを抱えながらピアノの練習をして、時として、己の無謀な挑戦に絶望する。明石の中に湧きあがる感情は、日々の生活や仕事に満足することができず、夢を追いかけている人の感情そのもので、僕にとっても共感するところが多かった。
 
明石は、優秀な他のピアニストたちの演奏を聴いて、自分が圧倒的に平凡な存在であることを改めて自覚する。同時に、普通の生活をしている自分だからこそ演奏できる音楽があることにも気づいて、ピアニストとして活動しつづけようと決意する。
 
明石の平凡さと続けようとする意思は、『蜜蜂と遠雷』の中でももっとも共感できる心のドラマだろう。


『蜜蜂と遠雷』は、言葉だけでピアノストたちの演奏の違いやスゴみを描いている、その表現力が素晴らしい!

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『蜜蜂と遠雷』では、たくさんのクラシック曲が演奏される。
 
なので、演奏されるクラシック曲のタイトルを読んだだけで、頭に曲やメロディーが浮かぶと、より物語や文章表現のスゴみが感じられるのだろう。残念ながら、僕はそこまでクラシック音楽に詳しくないので、タイトルを読んだだけでは、それがどんな曲やメロディーなのか、さっぱり分からなかった。
 
にもかかわらず『蜜蜂と遠雷』を読んでいると、文章表現だけでピアニストたちの演奏の違いやスゴみが感じられて、圧倒されるのである。直木三十五賞と本屋大賞をW受賞したのも、クラシック音楽というマニアックな世界を描きながら、無知な人でもその素晴らしさやスゴさが分かる、感じる、圧倒される文章表現があったからだろう。
 
『蜜蜂と遠雷』の中から、そんな文章表現をいくつか抜粋してみよう。
 
 

いつのまにか曲はベートーヴェンになっていた。
極彩色の色彩が、変化している。
今度は、速度を感じた。何かエネルギーが行き交っているような、音楽の速度と意思を感じ取ったのだ。
うまく表現できないが、ベートーヴェンの曲の持つ、独特のベクトルのようなものが少年の指先から矢のようにホールに放たれているようなのだ。

『蜜蜂と遠雷』P.25

 
 

客席が、凍りついた。
風間塵の紡ぎ出したカデンツァは、すこぶる不条理なまでに残虐で、凶暴性を帯びていたのである。
聴いているのがつらい、胸に突き刺さる、おぞましく耳障りなトレモロ。執拗な低音部での和音。
甲高い悲鳴、低い地響き、荒れ狂う風。敵意を剥き出しにした、抗う術もない脅威。
これまでの、楽しげで、ナチュラルで、天衣無縫な演奏とは似ても似つかない、暴力的なカデンツァ。

『蜜蜂と遠雷』P.260

 
 

なぜこんなふうに感じるのか?
こんな感覚を味わったのは初めてだった。
風間塵の曲は、ラストのカデンツァに入っていた。
いったい腕が何本あるんだ、この子は?
鍵盤すべてを押さえているかのような大音量。
譜面にこんなパートがあっただろうか?
これは即興ではないか?
そんなことをちらっと考えたが、ナサニエルも、他の審査員も、いや、ホールのすべての者がブルドーザーのように押し寄せる音の波に圧倒され、飲みこまれ、引きずり回されるがままになっていた。
根こそぎ持っていかれる。
遭難するぞ。

『蜜蜂と遠雷』P.398

 
 
改めて抜粋してみると、シンプルな言葉と文章表現で、演奏のスゴさを見事に描かれていて、小説家としての恩田陸の剛腕ぶりに感心してしまう。
 
そんなもんだから、『蜜蜂と遠雷』を読んでいると、ピアニストたちが演奏しているクラシック音楽を、自分が知らないことが悲しくなってくる。もし知っていたら、もっと物語の世界に入りこんで、もっと文章表現に感動して興奮しただろうに。
 
というわけで、次の章では、小説『蜜蜂と遠雷』で演奏されるクラシック音楽のタイトルを紹介していくこととする。最近では、ダウンロードとか、音楽ストリーミングサービスなどで音楽を聴けるようになっているので、ぜひコピー&ペーストして、検索して曲を見つけるのに役立ててほしい。


『蜜蜂と遠雷』で演奏される、クラシック音楽の曲名?

『蜜蜂と遠雷』では、目次の次のページで、芳ヶ江国際ピアノコンクールの課題曲が紹介されている。さらに次のページでは、風間塵、栄伝亜夜、勝る・カルロス・レヴィ・アナトール、高嶋明石が演奏する予定になっている曲名が紹介されている。
 
本を開けば誰でも知ることができるのだけど、ネットで曲を検索したり見つけたりしたい時に、リストをコピー&ペーストできるほうが便利だと思ったので、ここでも紹介しようと思う。
 
 

風間塵の演奏曲

第一次予選

  • バッハ : 平均律クラヴィーア曲集 第一巻第一番ハ長調
  • モーツァルト : ピアノ・ソナタ 第十二番へ長調K332 第一楽章
  • バラキレフ : イスラメイ

 
第二次予選

  • ドビュッシー : 十二の練習曲・第一巻第一番 五本の指のための/ツェルニー氏に倣って
  • バルトーク : ミクロコスモス第六巻より 六つのブルガリア舞曲
  • 菱沼忠明 : 春と修羅(架空の作曲家と曲)
  • リスト : 二つの伝説より 小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ
  • ショパン : スケルツォ第三番嬰ハ短調

 
第三次予選

  • サティ : あなたがほしい
  • メンデルスゾーン : 無言歌集より 春の歌 イ長調 Op.62-6
  • ブラームス : カプリッチョ ロ短調 Op.76-2
  • ドビュッシー : 版画
  • ラヴェル : 鏡
  • ショパン : 即効曲 第三番変ト長調 Op.51
  • サン=サーンス / 風間塵 : アフリカ幻想曲 Op.89

 
本選

  • バルトーク : ピアノ協奏曲 第三番

 
 

栄伝亜夜の演奏曲

第一次予選

  • バッハ : 平均律クラヴィーア曲集 第一巻第五番ニ長調
  • ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ 第二十六番 告別 変ホ長調 第一楽章
  • リスト : メフィスト・ワルツ第一番 村の居酒屋の踊り

 
第二次予選

  • ラフマニノフ : 絵画的練習曲音の絵 Op.39-5 アッパショナート変ホ短調
  • リスト : 超絶技巧練習曲 第五曲 鬼火
  • 菱沼忠明 : 春と修羅(架空の作曲家と曲)
  • ラヴェル : ソナチネ
  • メンデルスゾーン : 厳格なる変奏曲

 
第三次予選

  • ショパン : バラード 第一番ト短調 Op.23
  • シューマン : ノヴェレッテン Op.21 第二番ニ長調
  • ブラームス : ピアノ・ソナタ 第三番へ短調 Op.5
  • ドビュッシー : 喜びの島

 
本選

  • プロコフィエフ : ピアノ協奏曲 第二番

 
 

マサル・カルロス・レヴィ・アナトールの演奏曲

第一次予選

  • バッハ : 平均律クラヴィーア曲集 第一巻第六番ニ短調
  • モーツァルト : ピアノ・ソナタ 第十三番変ロ長調K.333 第一楽章
  • リスト : メフィスト・ワルツ 第一番 村の居酒屋の踊り

 
第二次予選

  • 菱沼忠明 : 春と修羅(架空の作曲家と曲)
  • ラフマニノフ : 絵画的練習曲音の絵 Op.39-6 アレグロ
  • ドビュッシー : 十二の練習曲 第五曲 オクターヴのための
  • ブラームス : パガニーニの主題による変奏曲 0p.35

 
第三次予選

  • バルトーク : ピアノ・ソナタ Sz.80
  • シベリウス : 五つのロマンティックな小品
  • リスト : ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178
  • ショパン : ワルツ 第十四番ホ短調

 
本選

  • プロコフィエフ : ピアノ協奏曲 第三番

 
 

高嶋明石の演奏曲

第一次予選

  • バッハ : 平均律クラヴィーア曲集 第一巻第二番ハ短調
  • ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ 第三番ハ長調 Op.2-3 第一楽章
  • ショパン : バラード 第二番へ長調 Op.38

 
第二次予選

  • 菱沼忠明 : 春と修羅(架空の作曲家と曲)
  • ショパン : エチュード Op.10-5 黒鍵
  • リスト : パガニーニの大練習曲 S.141 第六曲 主題と変奏
  • シューマン : アラベスク ハ長調 Op.18
  • ストラヴィンスキー : ペトルーシュカからの三楽章

 
第三次予選

  • フォーレ : ヴァルス・カプリス 第一番イ長調 Op.30
  • ラヴェル : 水の戯れ
  • リスト : バラード 第二番ロ短調 S.171
  • シューマン : クライスレリアーナ

 
本選

  • ショパン : ピアノ協奏曲  第一番

 
 

調べてみると、Amazonで『蜜蜂と遠雷』のすべてのピアノ曲を収録したCDが販売されていたので、下にリンクを設置しておく。ちなみに、ページへ行って下のほうへスクロールすると、各曲を購入できるボタンもあるので、ちょっと便利だ。


最後に...

 
ここ10年ぐらいビジネス書ばかりを読んできたので、久しぶりに長編小説を読んでみたいと思って、なんとなく手にとって購入したのが『蜜蜂と遠雷』だった。クラシック音楽については無知だったけれど、それでも充分におもしろく、素晴らしい小説だった。
 
クラシック音楽の世界というのは、一般の人からは少し遠い世界で、ストイックであると同時に華々しく、美しくも残酷な世界という意味で、物語の舞台としてスゴく魅力的なのだなと改めて感じた。
 
『蜜蜂と遠雷』が素晴らしい小説となった最大の理由は、作者である恩田陸が実際のピアノコンクールを徹底的に取材した体験がベースにあって、そのリアルな世界観に圧倒的な文章表現がプラスされたからだ。
 
並みの文章表現では、多くの人がメロディーが分からないクラシック音楽の演奏や表現を、言葉だけで描ききることはできなかっただろう。もし文章表現が並みだったら、登場人物たちの心のドラマも、まったく劇的に感じることができない。
 
もし、『蜜蜂と遠雷』に興味を持ったなら、あなたもぜひ読んでみてほしい。
 
あなたも、言葉による音楽体験に感動するだろう。
 

 
 

2017.06.28 おの なおと


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