はじまりのうた - BEGIN AGAINが素敵な映画だったから、その魅力を紹介する。
この投稿を書く理由?
なぜだかわからないけど、僕は、昔から音楽映画が好きだ。
ミュージカル映画はもちろんのこと、実在したミュージシャンの人生を描いた物語から、音楽を通して若者たちが成長する物語まで。
たぶん、音楽と映画の相性がぴったり合ってるからなんだろう。
優れた音楽映画には、すばらしい音楽があり、ドラマチックな物語があり、音楽に情熱をささげる人間の姿がある。
なぜだかわからなくもないけど、僕は、キーラ・ナイトレイが好きだ。
初めてキーラ・ナイトレイの存在を認識したのは、多くの人と同じように、パイレーツ・オブ・カリビアンの強気なヒロイン、エリザベス役だ。
キリッとした顔つき、少年みたいな細身の身体、演技も悪くないし、なにより凛々しい美しさがある。
そんなキーラ・ナイトレイが、ヒロインを演じる音楽映画があるというから、これは見ないわけにはいかない。
映画のタイトルは、はじまりのうた - BEGIN AGAINという。
ありきたりなタイトルだなと思って、そこまで期待してなかったんだけど、いやはや、すばらしい音楽映画だった。
というわけで、今回は、はじまりのうた - BEGIN AGAINの魅力をぜひ紹介したいと思う。
ちなみに、ネタバレは無しだ。
はじまりのうた - BEGIN AGAIN、物語が動きだす2人の出会いに惚れた!
映画にとって、最初の15分間ほど重要な時間はない。
その映画がどんな物語なのか、どんなタイプの映画なのか? 悲劇なのか、喜劇なのか、アクションなのか、サスペンスなのか… 観客は最初の15分間で、その映画の全体像をつかんで、興味を持てれば物語に入りこむ。
逆に、最初の15分間で、全体像がつかめなかったり、興味が持てなければ、観客は少しずつ退屈に感じはじめる。
はじまりのうた - BEGIN AGAINでは、キーラ・ナイトレイが演じるヒロインが、小さな酒場で、友達に勧められて、作りかけの1曲を歌うところから物語がはじまる。
アコースティックギターを鳴らしながら、キーラ・ナイトレイが歌うのは、地下鉄のホームで自殺を考えていて、死ぬのに、あと1歩踏みだす勇気が持てない…という曲だ。
小さな酒場の客たちは、曲の内容を理解すると、すぐに興味を失ってお客同士で話をしはじめる。
つまり、彼女の曲はまったく評価されなかったのだが、1人の中年男性だけが、目をキラキラさせながら拍手している。
その中年男性こそ、マーク・ラファロが演じる、落ちぶれた音楽プロデューサーだ。
この最初の場面こそ、はじまりのうた - BEGIN AGAINで、ヒロインと中年男性が出会い、物語が動きだす重要な場面になる。
そして、その後の展開を見て、僕はこの最初の場面に惚れた。
次の場面から、物語は、ヒロインと中年男性が、なぜ酒場で出会うことになったのか、そこまでの物語を描きはじめる。
そして、2人の人間性とドラマをしっかり描いた上で、物語はもう一度、小さな酒場でキーラ・ナイトレイが歌う場面を描く。
最初は、キーラ・ナイトレイの目線で描いた場面を、今度は、マーク・ラファロが演じる音楽プロデューサーの目線で。
キーラ・ナイトレイが歌いだすと、彼の中で曲のアレンジが浮かんできて、バックバンドなど存在していないのに、楽器が演奏しはじめる。
ありがちな2人の出会いを、なんてドラマチックに音楽的に描くんだろう!
はじまりのうたの最初の15分間に、僕は完全に惚れてしまった。
はじまりのうた - BEGIN AGAINで歌われてる楽曲は、すべてが素晴らしい!
すばらしい音楽映画で、もっとも重要となるのが、出演者本人が歌うにせよ、口パクで他の人が歌うにせよ、すばらしい音楽だ。
はじまりのうた - BEGIN AGAINでは、ヒロインを演じるキーラ・ナイトレイと、彼女の恋人役を演じるMaroon5のボーカル、アダム・レヴィーンが、楽曲を歌っている。
Maroon5のアダム・レヴィーンが、美しい高音を歌ってくれるのは、プロだから当然として、めちゃくちゃ驚いたのが、キーラ・ナイトレイの歌だった。
役を演じるという行為と、楽曲を歌うという行為には、きっと共通点があるんだろう。
キーラ・ナイトレイは、シンガーとしての声も表現力もすばらしくて、知らない人が彼女の歌を聞いたら、プロだと思っても不思議じゃない。
はじまりのうた - BEGIN AGAINの序盤で、中年の落ちぶれた音楽プロデューサーが、いろんなアーティストから送られてきた、デモ曲を聞きながら、クソみたいな曲ばっかりだ!と怒る場面がある。
それを見ていた僕は、音楽プロデューサーが、なぜ怒るのか、理由がわからなかった。どの曲も、今風のロックやポップで、決して悪くは聞こえなかったからだ。
しかし、はじまりのうたの物語が進んでいくうちに、僕は、音楽プロデューサーがなぜ怒ったのか、理由がわかってきた。
送られてきたデモ曲は、どれも売れそうな、ヒットしそうな楽曲ばかりで、音楽プロデューサーはそこに本物じゃないものを感じて、それで怒っていたのだ。
一方で、音楽プロデューサーが惚れこんだ、キーラ・ナイトレイの歌う曲は、どれも実際の生活で生まれた愛、怒り、悲しみなど、そのまま歌に昇華したものだ。
ヒロインの本物の感情が、メロディーに、歌詞に、歌にこもっている。
それが、音楽プロデューサーの心を動かした最大の理由だ。そして、観客もキーラ・ナイトレイの感情や曲に、心を動かされるようになる。
はじまりのうた - BEGIN AGAINで、キーラ・ナイトレイとアダム・レヴィーンが歌っている楽曲をすべて紹介!
はじまりのうた - BEGIN AGAINのサウンドトラックには、全16曲が収められている。
iTunes Storeのようなダウンロード系のサービスで購入することもできるし、Apple Musicのようなストリーミング系のサービスでも配信されている。
ここでは、キーラ・ナイトレイが演じるヒロインの楽曲と、Maroon 5のアダム・レヴィーンが演じるヒロインの元カレの楽曲だけを選んで紹介していく。ちょっとネタバレってぽい解説も書いているので、もしかしたらこの箇所は映画を見た後に読んだほうが良いかもしれない。ちなみに、冒頭の番号はサウンドトラック内での曲順となる。
01 : Lost Stars
アダム・レヴィーン(Maroon 5)
物語の終盤、キーラ・ナイトレイの元彼であるアダム・レヴィーンが、ライブハウスで歌うバージョンのLost Starsである。はじまりのうた - BEGIN AGAINの中でこの曲は、キーラ・ナイトレイが、元彼にプレゼントした曲という設定になっている。
02 : Tell Me If You Wanna Go Home
キーラ・ナイトレイ
予告編などで使われている、はじまりのうた - BEGIN AGAINのテーマ・ソング的な存在。このバーションは、映画の中では歌詞のない音楽として数カ所で使われている。
03 : No One Else Like You
アダム・レヴィーン(Maroon 5)
物語の序盤、キーラ・ナイトレイとアダム・レヴィーンがNYに移住してきて、初めてのスタジオ録音でレコーディングしている曲。この時点では、2人ともラブラブな恋人同士であり、すぐれた音楽を創る仲間でもある。
05 : Lost Stars
キーラ・ナイトレイ
物語の中盤、キーラ・ナイトレイがアダム・レヴィーンを思い出して、パソコンに保存してあった動画を見ながら、過去を振り返る場面に登場する曲。動画で、Lost Starsという曲が、キーラ・ナイトレイが元彼のためにプレゼントとして創った曲だということが判明する。
06 : A Higher Place
アダム・レヴィーン(Maroon 5)
物語の中盤、西海岸のツアーから戻ってきたアダム・レヴィーンが、キーラ・ナイトレイに聞かせる新曲。歌詞の内容から、彼に別の恋人がいることに気づいて、キーラ・ナイトレイが彼の家から飛び出す。
07 : Like a Fool
キーラ・ナイトレイ
物語の中盤、キーラ・ナイトレイが親友と一緒に、アダム・レヴィーンの留守番電話に歌った曲。お酒を飲んでいる最中に、曲のアイディアが降りてきたという設定で、元彼へのシャレた当てつけである。
10 : Coming Up Roses
キーラ・ナイトレイ
物語の中盤、マーク・ラファロの提案で、キーラ・ナイトレイたちはNYの街中で楽曲を録音していくことになる。その展開の中で、地元の子供たちが遊んでいるような裏路地で録音をする場面があり、そこで歌われている曲。
12 : A Step You Can't Take Back
キーラ・ナイトレイ
キーラ・ナイトレイが小さな酒場で、友達に勧められて歌う楽曲。自殺について思いを巡らせるという曲にも関わらず、それを聴いていたマーク・ラファロが演じるプロデューサーの頭の中で、勝手にアレンジが加えられていき、彼は一目で才能を認めることとなる。
13 : Lost Stars(Into the Night Mix)
アダム・レヴィーン(Maroon 5)
物語の終盤、アダム・レヴィーンがキーラ・ナイトレイとの関係を復活させたくて、完成したLost Starsを聴かせた時のバージョン。聴いたキーラ・ナイトレイは、曲の持っている魅力が失われているのが納得できず、自分が求めていることと、彼が求めているものが大きく違っていることに気づく。
15 : Tell Me If You Wanna Go Home(feat.Hailee Steinfeld)[Rooftop Mix]
キーラ・ナイトレイ
物語の中盤、キーラ・ナイトレイたちがビルの屋上で最後の録音をした場面の曲。曲の終盤では、ヘイリー・スタインフェルドが演じる娘が、ソロでエレキギターをかき鳴らすパートがあり、とても魅力的な場面になっている。
ちなみに、ヘイリー・スタインフェルドは、2016年夏にソロ・アーティストとして全米デビューしていて、歌うのもスゴいということが明らかになった。
はじまりのうた - BEGIN AGAIN、音楽を愛する制作チームが描きだす、音楽の魅力?
はじまりのうた - BEGIN AGAINの中盤で、中年の音楽プロデューサーが、すばらしい音楽には、なにげない日常を宝石のように輝かせる力がある…(正確なセリフは違っていると思う)みたいなことを言う場面がある。
そして、年齢を重ねるのにつれて、それを見つけるのが難しくなる…とも。
はじまりのうたを最後まで見て、僕は、その音楽プロデューサーの言葉こそ、はじまりのうたの全体像を見事に表現しているし、制作チームが映画で描こうとしたこと、そのものだと強く感じた。
キーラ・ナイトレイと中年の音楽プロデューサーは、小さな酒場で出会い、意気投合する。
そして、音楽レーベルへキーラ・ナイトレイを売りこむために、一緒にデモ・アルバムを作ろうとする。
ところが、キーラ・ナイトレイは、恋人と別れて、親友の家に転がりこんでいる状態だし、中年の音楽プロデューサーは、会社をクビになったばかりで、曲を録音するための制作費が出せない。
そこで、キーラ・ナイトレイと音楽プロデューサーは、給料は払えないけど、それでも音楽をやりたい若者たちを集めて、郊外で曲を録音しはじめる。
それも、物語の舞台となっているアメリカのニューヨークで、ニューヨークを代表するような場所で、周囲の環境音も一緒に録音してしまうという方法でだ。
はじまりのうた - BEGIN AGAINでは、キーラ・ナイトレイも、中年の音楽プロデューサーも、それぞれに苦しみや悲しみを抱えていることが明らかになる。
それでも、2人はそれを音楽として昇華させて、曲をどんどん録音していく。
そして、曲が録音される場面を見るたびに、僕たち観客は、キーラ・ナイトレイの感情の深いところを知り、音楽が生みだす宝石のような輝きを見る。
まとめ
すばらしい音楽映画を見ると、サウンドトラックが欲しくなるというのは、映画が好きな人なら、誰もが感じることだろう。
はじまりのうた - BEGIN AGAINを見て、僕はすぐに映画で使われていた曲が欲しくなった。
調べてみると、iTunes Storeで売っていたので、お金に余裕ができたら購入しようと思っている。
それから、はじまりのうた - BEGIN AGAINで監督を務めた、ジョン・カーニー - John Carneyは、前作、ONCE ダブリンの街角でも、音楽映画で高く評価されている。
はじまりのうた BEGIN AGAIN(予告編) - YouTube
僕も、世界中で話題になっていたことは知っていたのだけど、残念ながら見ることができていない。
なので、機会があれば、ぜひONCE ダブリンの街角でを見てみたい。
最後に、英語版ではあるけど、はじまりのうた - BEGIN AGAINの予告編があったので、興味ある人はぜひ見てほしい。
キーラ・ナイトレイと中年の音楽プロデューサーが出会う、小さな酒場の場面や、ニューヨークの各地で録音をしている場面もある。
予告編を見れば、はじまりのうたの雰囲気がわかるだろう。
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