映画『メッセージ』が、素晴らしいSF映画だったので紹介する!【ネタバレ度50%】

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映画『メッセージ』って、どんな映画?

映画『メッセージ』を簡単な文章で紹介すると、地球に謎の宇宙船がやって来て、人間と宇宙人が意思疎通を行うことができるかどうかを描いた映画ということになるだろう。
 
原作は、1999年にテッド・チャンが発表した『あなたの人生の物語』という短編SF小説で、この小説はネビュラ賞中編小説部門、シオドア・スタージョン記念賞を受賞している。監督したドゥニ・ヴィルヌーヴは、『ブレードランナー 2049』の監督にも抜擢されていて、最近注目されている映画監督だ。
 
僕が『メッセージ』という映画に注目するようなったのは、YouTubeに公開されていた海外版の予告編を見たときだった。お菓子のばかうけのような、柿の種のような、不思議な形をした宇宙船が印象的だったのと、人間と宇宙人とのファースト・コンタクトを描いているのがおもしろそうだったからだ。
 
実際に『メッセージ』を見て、僕が感じたのは、これは素晴らしいSF映画だという感覚だった。SF映画にもいろいろあって、物語の舞台が宇宙空間になっているだけで、実は単なるアクション映画とか、実は単なる恐怖映画とか、そういうものが多いのだけど、『メッセージ』は違っていた。
 
素晴らしいSF映画というのは、宇宙とか未来とかを舞台とすることで、現実世界ではありえない可能性や問題を提示する。そして、それをテコにして新たな世界観や人間観を描いて、観客を驚かせ考えさせる。『メッセージ』は、まさにそういう物語になっていて、素晴らしいSF映画だった。
 
というわけで、今回の投稿では、映画『メッセージ』の素晴らしさについて紹介していく。タイトルにもある通り、ネタバレ度が50%ぐらいになる。なので、なにも知らない状態で『メッセージ』を観たい人は、観てから改めて読んでもらえたらと思う。


映画『メッセージ』は、ヒロインの個人的な人生を描いていて、そこに意味があるところが素晴らしい?

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映画『メッセージ』は、エイミー・アダムスが演じるヒロインの記憶から始まる。
 
ヒロインが可愛らしい女の子を出産して、子育てをしながら充実した日々を過ごし、女の子に反抗期がおとずれ、女の子が難病で若くして亡くなってしまうという記憶だ。その記憶が描かれてから、ヒロインが大学で教えている言語学者であることが描かれ、謎の宇宙船が地球にやって来て、大きなパニックが起こる。
 
普通のSF映画であれば、主人公の個人的な人生というのは、深く描かれない。それは、SF世界で起こる問題や出来事が物語の中心になっていて、主人公の人生に焦点が当たっていないからだ。
 
映画『メッセージ』では、言語学者であるヒロインの人生に焦点が当たっている。それだけでもSF映画としては珍しいのだけど、僕が素晴らしいと感じたのは、ヒロインの個人的な人生と、SF世界で起こる宇宙人とのファースト・コンタクトが、実は大きく関係していて関連しているところだ。
 
つまり、最初に描かれてヒロインの記憶には、物語の展開として、描こうとしているテーマとして、大きな意味がある。ヒロインの個人的な人生と、宇宙人が地球にやって来たことに、深い関連性がある。そこが素晴らしい!
 
なにも知らずに『メッセージ』を見ながら、僕は、なぜヒロインの記憶を最初に描く必要があったのだろうと疑問に感じていた。けれど、物語の終盤でその理由が明らかになった瞬間、思わず心の中でなるほど!と絶叫した。
 
そして、『メッセージ』が描いてる深いテーマに感心して、素晴しいと感じた。

映画『メッセージ』は、宇宙人とコミュニケーションする難しさを描いていて、そこが素晴らしい?

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映画『メッセージ』では、謎の宇宙人がいきなり英語でしゃべったりしない。
 
宇宙船に乗っているのは、宇宙人と呼べるのかどうかも怪しいような未知の生物であって、そもそもコミュニケーション可能なのかどうかもわからない。そこで、宇宙人とコミュニケーションするために召集されたのが、ヒロインの言語学者である。
 
ヒロインに課せられた目的は、謎の宇宙船が地球にやって来た目的を知ることである。
 
ヒロインは、他の学者たちと協力しながら、まず宇宙人たちの鳴き声が、言語ではないことを解明する。ところが、それだとコミュニケーション不可能ではないかとなるのだが、ヒロインが音ではなく、読み書きだけの言語が存在するかもしれないと考える。そして、それが宇宙人たちとのコミュニケーションのきっかけになる。
 
映画『メッセージ』では、人間と宇宙人がコミュニケーションするために、白紙の状態からお互いの言語を学びあうという過程を、丁寧に描いている。そして、その過程から宇宙人たちの言語体系が、地球のものとまったく違うことが明らかになる。
 
映画『メッセージ』が素晴らしいのは、単純に人間と宇宙人とのコミュニケーションの難しさを描いているだけでなく、人と人、国家と国家が理解しあうことの難しさも描いているところだ。
 
物語の終盤、1つの言葉をめぐって誤解や憶測が生まれて、そこから国家間で亀裂が生じて、人間と宇宙人の間でも亀裂が生じてしまう。

映画『メッセージ』は、新しい言語を学ぶと思考が変化するという現象が、物語の鍵となるのが素晴らしい?

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人間は、言語でコミュニケーションして、言語で考えるのだそうだ。
 
つまり、日本語を自然に話す人は、日本語であれこれ考えるし、フランス語を自然に話す人は、フランス語で考えるということになる。日本語とフランス語では、言葉の仕組みも表現の多様性も違っているわけで、ということは、話す言葉によって考え方も変わるということになる。
 
だから、古今東西で語られてきた、新たな言語を理解していく過程で、考え方が変わったり、新たな考え方ができるようになるというエピソードは、決して偶然ではない。人間の脳内で新たな言語の仕組みが作られた結果、起こる自然な現象なのである。
 
映画『メッセージ』では、ヒロインが宇宙人の言語を理解していく過程で、同じことが起こる。脳内に新たな言語の仕組みが作られたことで、いままで見えなかったものが見えるようになる。そして、それが物語にとって重要な鍵となる。
 
『メッセージ』が素晴らしいのは、宇宙人の言語を理解することでヒロインに起こる変化が、物語を解決する重要な鍵になるところだ。凡人の発想では、こんなアイディアを思いつかないし、SF小説だからこそ描くことができたテーマでもある。
 
映画『メッセージ』では、最初にヒロインの記憶が描かれる。
 
素晴らしい映画というのは、すべての場面やエピソードに意味があり、決して無駄なところがない。だから、最初に描かれたヒロインの記憶と、物語の後半で描かれるヒロインの変化には、大きな関連がある。
 
その関連性が平凡だったのであれば、『メッセージ』という小説も映画も、決して素晴らしい作品ではなかっただろう。『メッセージ』が素晴らしいのは、その関連性に多くの人が驚き、なるほどと納得し、そこに深いテーマを見つけるからだ。
 
つまり、『メッセージ』という作品を理解することで、観客も考え方が変わるのである。

最後に...

映画『メッセージ』は、素晴らしいSF映画なので、ぜひとも多くの人に見てほしいと思う。映画や物語にあまり触れたことがない人にとっては、少しばかり複雑で難しいかもしれない。けれど、この物語が評価されるのにはちゃんとした理由があるし、根拠がある。
 
映画『メッセージ』は、素晴らしいSF映画として、長く語り継がれるだろう。
 
ARRIVAL Official TRAILER - YouTube
 
それは、ひとえに『メッセージ』の主人公であるヒロインの勇気ある決断によるものだ。ヒロインがなにを思い、なにを感じ、なにを決断するか? そこに『メッセージ』という映画のすべてのテーマがある。
 
 

2017.06.15 おの なおと


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