映画「リメンバー・ミー」の感動を、3つの視点から読み解いてみる?

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映画「リメンバー・ミー」について書きたい理由?

その理由は、映画「リメンバー・ミー」を観て、僕が感動したからだ!
 
そして、感動した映画「リメンバー・ミー」について自分なりに読み解いてみたいと考えて、久しぶりに個人ブログに投稿することにした。正直なところ、物語をうまく読み解くことができるかどうか、感じた感動をうまく伝えられるかどうか、自分でも分からない。
 
基本的な情報として、映画「リメンバー・ミー」は、アメリカ西海岸に本拠地があるピクサー社が制作した3DCGアニメーション映画だ。
 
個人的な印象だと、ここ3〜4年ほどのピクサー作品は、完成度は高いのだけれど、アイデアのおもしろさ、感動する物語性などが弱くなってきている印象だった。同じくディズニー社が抱えている、ディズニー・アニメーション・スタジオ作品のほうが、アイデアやおもしろさ、感動する物語などで上回ってきている感じだった。
 
映画「リメンバー・ミー」の終盤、僕が感動して泣きそうになった瞬間、後ろのほうの席にいた小さな男の子が大声で泣き出した。普通の映画であれば、大きな声で泣かれたら感動が冷めてしまって、少し迷惑に感じたかもしれない。
 
ところが、その瞬間、劇場内が少しだけ暖かい雰囲気になった。というのも、「リメンバー・ミー」を鑑賞していた誰もが、泣き出した男の子と同じ気持ちだったし、彼がとても心優しい子供であることが分かったからだ。
 
僕は微笑ましい気持ちになって思わず笑って、そして泣いた。


映画「リメンバー・ミー」を動かす、チャンスをつかもうとする主人公の行動力?

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映画「リメンバー・ミー」はメキシコが舞台となっていて、主人公はミゲルという中学生ぐらいの少年である。ミゲルはギターを弾くのが大好きで、ミュージシャンになることを夢見ている。そして、強い情熱で夢を実現した、地元出身の大スターであるエルネスト・デラクルス(すでに亡くなっている)に強く憧れている。
 
ミゲルは暇を見つけては、上の画像のようにエルネストが主演した白黒映画のビデオを見ながら、彼の歌とギターを真似している。そして、エルネストが映画で決めゼリフとしている「チャンスをつかめ!」を心に刻んでいる。
 
優れた映画の主人公というのは、それがミュージシャンになる夢でも、妻を殺した犯人に罪を償わせたい復讐心でも、行動を起こさせる強い動機を持っている。強い動機があるからこそ、ピンチに陥っても、主人公は断固とした態度で行動を起こすことができる。
 
残念ながら、社会と日常を生きる僕のような一般人は、そう簡単に断固とした態度で行動を起こすことができない。簡単に妥協したり、たやすく決意が揺らいだり、わずかな不安におののいたりする。
 
物語の序盤の転換点で、ミゲルは死者の祭りでギターを弾きたいあまりに、エルネストの記念館に飾ってある愛用のギターを盗んでしまう。これは、日本人の普通の感覚であれば、反発心や拒否感を抱かれても仕方がない行為である。
 
ところが、「リメンバー・ミー」では、物語の序盤にミゲルの音楽への強い情熱と、ギターを盗まざるをえなかった家族との葛藤が描かれている。なので、観客がミゲルの行動に感じたのは、反発心や拒否感よりも、むしろ納得と共感であった。
 
それが故人の遺品を盗むという行為であっても、強い動機があれば、納得して共感してしまうのだから、物語が持っているパワーは恐ろしい!
 
物語の最初から最後まで、ミゲルは自分が求めていることのため、自分が正しいと信じることのために、あえて困難な道を選ぶ。そして行動することで、困難な道を切り開いて、問題を解決していく。
 
そんなミゲルの姿に、社会と日常を生きる僕のような一般人は、ヒーローの姿を見る。
 
カリオストロ伯爵と戦ったルパンであれ、タイタニックで運命の恋人を見つけたジャックであれ、邪悪な指輪を滅する旅へ出たフロドであれ、観客は物語のパワーで、ヒーローが抱くことになる強い動機に共感する。
 
そして、共感したヒーローが行動を起こして、困難な道を進んでいき、問題を解決する姿にカタルシスを感じて、ヒーローの感情を自分のもののように感じる。
 
感動する映画には、必ず観客から強く共感されるヒーローが存在している。その共感が強ければ強いほど、観客はヒーローにより感情移入することになる。感情移入することで、ヒーローの冒険や喜びや悲しみが、観客の冒険や喜びや悲しみになり、感動が生まれるのである。

映画「リメンバー・ミー」で、主人公にとって大きな障壁となる一族の掟?

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映画「リメンバー・ミー」では、最初にココ(車椅子のひいお婆ちゃん)の母親が幸せな結婚をしたにもかかわらず、父親が音楽で成功するために家を飛び出したという一族の歴史が描かれる。そして、音楽は家族を不幸にするということで、音楽が禁止になるという一族の掟が紹介される。
 
主人公のミゲルは、そんなココから広がった大家族の一員である。大家族のみんなは靴職人として仕事をしていて、音楽への情熱を持っているのはミゲルだけである。
 
映画「リメンバー・ミー」で、ミゲルにとって大きな障壁となるのが、音楽は禁止という一族の掟である。ミゲルの場合、大家族の司令塔のような存在であるエレナ(おばあちゃん)が掟を強く信じていて、ことあるごとにミゲルの前に立ち塞がる。
 
家族が自分の情熱を理解してくれないというのは、現実世界でも多く起こっていることで、実際に多くの親子が疎遠になる原因となる。
 
そして、映画は人間世界に起こることを反映するので、家族が理解しあえないというテーマは、世界中の映画でたびたび描かれることとなる。映画でこのテーマが描かれる場合、数々の問題が起こった結果、最終的には家族がお互いのことを深く理解できるようになって和解することが多い。「雨降って、地固まる」というやつだ。
 
ところが、映画「リメンバー・ミー」の場合、序盤の転換点で、ミゲルが死者の国に迷い込んでしまう。ミゲルとエレナ(おばあちゃん)が死者と生者の世界に別れてしまっては、2人の対立が起こらなくなり、お互いを深く理解するチャンスがなくなってしまう。
 
この映画は、どうやって家族がお互いのことを深く理解して、和解するのだろう?
 
一応ディズニー映画だから、ハッピーエンドになるはずだけど...
 
そんなことを脳裏で思いながら、僕は物語にのめり込んだ。
 
 

ここからはネタバレになるので、読むかどうか注意!

映画「リメンバー・ミー」では、音楽で成功するために家を飛び出したココ(車椅子のひいお婆ちゃん)の父親に、実は大きな秘密があって、その秘密が明らかになることで和解が生まれる。最初に和解するのは、死者の国にいるココの母親と父親だ。
 
その秘密が明らかになった瞬間、この映画がめちゃめちゃ上手く設計されていることに気づいて、僕は目から鱗がポロポロ落ちるほど感心した。というのも、ココの父親の秘密が明らかになった瞬間、ミゲルの障壁となっていた一族の掟が、ドミノ倒しのように連鎖的に解消できるように物語が設定されていたからだ。
 
同時に、物語の序盤に脇役として登場していたのに過ぎなかったココ(車椅子のひいお婆ちゃん)が、実はミゲルの一族みんなが幸せになるための鍵を握っていたことが明らかになって、僕は驚いた!
 
映画「リメンバー・ミー」では、最初にミゲルの物語ではなく、彼のひいお婆ちゃんであるココの母親と父親の物語が描かれる。物語の終盤、ココの父親の秘密が明らかになるまでは、ココの母親と父親の物語が描かれたのは、ミゲルの障壁となる一族の掟を紹介するためだろうと、僕は単純に考えていた。
 
ところが、ココの父親の秘密が明らかになり、ココの母親と父親の物語に、誰も知らなかった側面があることが明らかになる。それは、ココの父親の想いだ。
 
ココの父親の想いが、映画「リメンバー・ミー」が感動を生みだす鍵となる!


映画「リメンバー・ミー」のテーマは、生者と死者を結びつける架け橋?

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映画「リメンバー・ミー」では、人が死ぬとその時の姿のまま死者の国へ行き、そこで暮らすこととなる。そして、年に1度開催される死者の祭りの日だけ、死者は架け橋をわたって生者の国へ行くことができ、そこで子孫の姿を見ることができる。
 
物語に登場するメキシコの死者の祭りは、日本のお盆とほぼ同じである。その日だけ死者の魂が故郷に帰ってきて、そしてまた死者の国へ戻っていく。「リメンバー・ミー」の世界設定は、日本人が古くから受け継いできた死生観に近くて違和感がない。
 
映画「リメンバー・ミー」の舞台となる死者の国には、2つの重要な設定がある。
 
1つ目は、死者が架け橋をわたって生者の国へ行くためには、その故人の写真が祭りのタイミングで祭壇に飾られていなければならない。つまり、生きている人たちが故人を思って祭壇に写真を飾っていて、はじめて死者は架け橋を渡ることができる。
 
2つ目は、生きている人たちの記憶から、故人の思い出が消えてしまうと、死者は死者の国からも消えてしまう。これは、故人の思い出を持っている人たちが亡くなったり、故人のことを忘れてしまうことで起こる。劇中では「2度目の死」と呼ばれている。
 
死者の国に迷い込んでしまったミゲルは、生者の世界へ戻るために、ヘクターという死者と行動を共にすることになる。
 
ヘクターは祭りの日に架け橋を渡ることができない死者で、生きている人たちが誰1人として彼の写真を祭壇に飾ってくれていない。ヘクターはまだ生きているはずの家族に会いたいのだけれど、家族に自分の写真を飾ってもらわないと、それを実現できない。
 
ヘクターは、生者の国へ帰りたいミゲルを助けることができれば、自分の写真を家族に届けてもらえると考える。祭壇に飾ってもらえれば、家族に会うことができる。そこで、ヘクターはミゲルを生者の国へ返すために、彼と一致団結する。
 
 

ここからはネタバレになるので、読むかどうか注意!

映画「リメンバー・ミー」の終盤、観客を大きく不安にさせるのが、ヘクターの体に死者の国からも消えそうになる兆候が現れた瞬間である。それは、まだ生きているはずの家族の記憶から、何らかの理由でヘクターの存在が消え去ろうとしているサインである。
 
物語の中盤あたりで、多くの観客はふと疑問を抱く。
 
ヘクターの家族はまだ生きているのに、なぜ誰も彼の写真を祭壇に飾らないのだろう?
 
現実社会を生きていると、すべての人間の死が、必ずしも悲しいわけではないことに気づく。生きている間に、すでに誰からも忘れ去れてしまっている死もあれば、多くの人から疎まれて恨まれて、迎える死もある。
 
生きているはずの家族が、誰もヘクターの写真を祭壇に飾っていないのは、彼が誤解されたまま亡くなってしまったからだ。そして、その誤解が解けないまま、ヘクターは家族の記憶からも消え去り、「2度目の死」を迎えようとするのである。
 
悲しきヘクター。
 
家族の誰からも理解されないまま、死者の国をさまよっているという点では、生者と死者という立場こそ違っていても、ミゲルもヘクターも同じである。
 
そして、ヘクターこそが音楽で成功するために家を飛び出した、ココ(車椅子のひいお婆ちゃん)の父親であることが明らかになって、物語を構築していたさまざまな設定やエピーソードが1本の線でつながる。
 
1度は音楽で成功するために家を飛び出したものの、家族のところへ帰ろうして、不遇の死を迎えてしまったヘクター。死者の世界で暮らすことになっても、ずっと家族に会いたいと願いながら、それを実現できないまま「2度目の死」を迎えようとするヘクター。
 
ミゲルは、そんなヘクターの願いを実現するため、生者の世界へ戻って、父親の記憶を失いかけているココに、ヘクターの本当の気持ちを伝えようとする。そしてミゲルは、ヘクターが愛する娘ココのために作った「リメンバー・ミー」を歌いはじめる...
 
ヘクターが愛し、ミゲルが愛した音楽が、父親とココを結びつける架け橋となり、ミゲルと家族を結びつける架け橋となるのである。
 
そりゃ、僕みたいな40歳過ぎのおっさんでも、涙が溢れるわ!


映画「リメンバー・ミー」は、生者がつむいだ想いが、時や場所を超えて家族を結びつける物語?

家族を結びつけるものは、人によって家族によってさまざまだろう。血縁もあれば、家系もあれば、思い出もあれば、支配もあれば、利害関係もあるだろう。もしかしたら、その中でもっとも強力なのが想いなのかもしれない。
 
映画「リメンバー・ミー」を観ると、すでに死者の国へ旅立った親しい人たちのことを、ふと思う。今生きている自分は、亡くなった親しい人たちが歩んできた物語や想いをどれだけ知っているだろう? その想いを少しでも受け継いで、生きているだろうか?
 
僕のように家族のいない人だと、次のように思った人もいるかもしれない。
 
自分が死者の国へ旅立ったとき、誰が自分の物語や想いを覚えていてくれるのだろう?
 
映画「リメンバー・ミー」は、誰もが逃れることができない生と死をテーマにしながら、生と死を超えてつながる想いを描いた、素晴らしいアニメーション映画である。すでに素敵な家族に囲まれている人は、もっと家族を大切にしたくなるだろうし、僕のように家族がいない人も、きっと家族が欲しくなるだろう。
 
もし、映画「リメンバー・ミー」をまだ観ていないなら、ぜひ観てみてほしい!
 
きっと、あなたの記憶に残る作品になるから。
 
 


 

2018.04.06 - おの なおと


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